。この気持ちを先輩たちは何度も経験してきたのか。「いちゅびって沖縄の方言でイチゴって意味」
緊張した面持ちの先輩がつっけんどんに言った。いちゅびは先輩とペアになった。その言葉にぼくの閉塞していた視界が一気に開ける気がした。
「先輩、今、意味が分かりました」
ん、と先輩が返事をするのに合わせて、どん、と大太鼓が鳴る。会場がどよめく。
イチゴって、二人きりで食べたいですもんね。好きな人と。
どん、どん、どん、と太鼓が打ち鳴らされる。客たちの視線をぐっと集めて僕は体の芯から熱が宿ってくるのを身体中で感じていた。手で、足で、体で、心で。昂ぶる感情の中に少しばかりの緊張を載せて僕は、僕たちは叫ぶ。
「いっちんどーい!」
「はいさーい!」
To be continued. -続きは6/30中野ゼロで-
はいさい!
プレリュード初参戦のYです!
今日は新宿エイサー新虹(あらぬーじ)の演舞の一つであり、上の文章にも登場した『いちゅび小節』を紹介します! 難しい演舞ですが、当日は二人組になる我々を見たら『おっ、いちゅび!』と注目してみてください!
エイサーは演舞にばかり気が取られがちですが、全曲歌詞があるんです。いちゅび小節の一番の歌詞はこちらです。
いちゅび小に惚りてぃ座喜味村通てぃ通てぃ通いぶさ 喜名ぬ番所
さー思やが来ん かなしが来ん
おお、よく分からん笑 沖縄訛りは難しい!
これを標準語訳に直すとこうなります。
イチゴちゃんに惚れて、座喜味村通って通って 通いたい 喜名の役所
ああ 思う人が来た 愛する人が来た
沖縄には座喜味(ざきみ)という土地が実際にあります。その座喜味での出来事ですね。イチゴ、とはストロベリーのイチゴ。『いちゅび』とは沖縄の方言でイチゴを意味しているんです。
ここでイチゴとは思いびと『彼』を指しており、主人公はその彼に惚れてしまって座喜味村に通い詰めたんですね。うん、健気。1908年まで存在していたという座喜味村の喜名番所、役所にきっと彼は勤めていたのでしょうか。
その彼が仕事終わりか何かで主人公のところへ来てくれたのです。(この辺の歌詞の解釈はよく分かってません)
聞き流していた曲が実は思いびとへの恋歌だった、それが『いちゅび小節』なのです。
この曲は実は七番まで続くのですが、以降『いちゅび』は一回しか歌詞に出てきません。いちゅび小節は、イチゴ取りに行くことを口実に、イチゴちゃんの元へ忍びに行く曲とされています。しかし七番まで続く長い歌からいろんな解釈ができそうな一曲なのでした。興味が湧いたら調べてみてください。
演舞と太鼓を見てもらえることも光栄ですが!、ぜひ曲も聴いて遠き日の沖縄に思いを馳せてみてください!